PolyWorksで実現した
Industrial Technology Solutions社の象徴的な鉄鋼構造物
Industrial Technology Solutions社は、ラスベガスのLED球体型シアター「スフィア」、NASAの「モバイル・ランチャー2」、ポートランド国際空港といった注目度の高いプロジェクトを数多く手がけてきました。製造時間の短縮と組み立て精度を大幅に向上できた要因として、PolyWorks|Inspector™の貢献を挙げています。
ポートランド国際空港の設計には、9エーカー(約36,000平方メートル)に及ぶ大規模木造屋根、床から天井まで伸びるガラスウォール、加えて高度な免震システムが採用されています。画像提供:Industrial Technology Solutions社
Industrial Technology Solutions社について
会社概要
Industrial Technology Solutions(ITS)社とEngineering Management Solutions(E&M Solutions)社は、計測およびエンジニアリングを専門とする家族経営の企業グループです。アーカンソー州のジョーンズボロとホットスプリングスに拠点を置く2社は、それぞれの専門知識を結集し、極めて複雑なエンジニアリングの課題に取り組んでいます。オーナーであるJeffとCindy Van Horn夫妻は、長年にわたり12名の専門家からなるチームを築き上げてきました。メンバーには夫妻の息子2人(機械エンジニア)も含まれており、そのうちの1人はE&M Solutions社のオーナー兼運営者を務めています。
同社は、構造的健全性を検証する高精度なデータ主導型ソリューションを提供し、製造業者や鉄骨構造物加工業者が多額のコストを伴うミスを未然に防げるよう支援しています。すべてのプロジェクトは、クライアントのニーズを深く理解することから始まります。そのうえで、製造プロセス、業界標準、各種規格要件に関する豊富な知識に基づき、最適化された設計に落とし込まれます。
おもに鉄骨建設業界および鉄鋼製造業界向けにサービスを提供する同社グループは、高度な計測技術とエンジニアリングの専門知識を融合し、プロジェクトの全工程を通じて精度と信頼性、そして性能の確保に貢献しています。
「私たちが重視しているのは成果です」と、シニアエンジニア兼Industrial Technology Solutions社創業者、Jeff Van Horn氏は言います。「当社は、お客様のビジネスの成功を確実に支えるために、高品質な設計、検査、詳細設計サービスの提供に注力しています。そのためには、信頼性を重視した、明確かつ綿密な設計と検査計画が不可欠です」
ITSの創設者兼シニアエンジニア、Jeff Van Horn氏、NASAスペースシャトル組立棟の前にて画像提供:Industrial Technology Solutions社
大規模な鉄骨製作プロジェクトにおけるおもな課題とは
課題
建設業界において、手戻りによるコスト超過は、依然として建設業界における大きな課題の一つです。世界最大規模の球体構造物を建設するとなれば、予算内で効率的にプロジェクトを完遂することが求められます。
ラスベガスの「スフィア」(Sphere)は基部から高さ366フィート(約112メートル)、赤道部分の直径約520フィート(約157メートル)を誇る構造工学上の傑作です。合計368個の鋳鋼製ノードが、直線状の構造用鋼管をつないでいます。さらに、数千箇所の現場ボルト接合部を持つ鋼管製の骨組みが外殻全体を覆い、世界最大規模かつ超高解像度の屋外用LEDスクリーンを支えています。
このプロジェクトは先進的な建築デザインを採用しているため、すべての構造部材は厳しい公差基準を満たす必要がありました。そうでなければ、位置の不整合や現場での調整、さらに深刻な場合は高額な設計変更につながるおそれがあったためです。品質確保のため、Jeff Van Horn氏とそのチームは、構成部品を建設現場へ出荷する前に行うボルト締め作業の代替手段として、「MCAS(Metrology CAD Assisted Solutions:計測・CAD支援ソリューション)」と呼ばれる革新的な手法を開発しました。ラスベガス「スフィア」のプロジェクトは、同チームにとって大々的にこの手法を適用した初の事例でしたが、その結果は期待を上回るものでした。PolyWorks|Inspector™を搭載したMCASは極めて高い成果を上げ、容易な組み付け確認、潜在的な問題の早期発見と解決、組立時間の大幅な短縮が実現しました。
「製鉄所では、1基あたり1時間の稼働で100万ドルものコストがかかります。手戻りが発生し、そのせいで製鉄所が1週間余分に稼働することになれば、その時点で完全に信用を失ってしまいます」- Jeff Van Horn氏
ITS代表、Cindy Van Horn氏、ラスベガス「スフィア」前にて画像提供:Industrial Technology Solutions社
Van Horn氏は、ポートランド国際空港で実施された、長さ550フィート(約167メートル)・重量200トン(約20万キログラム)の構造用梁プロジェクトにおけるMCAS活用事例についても次のように語っています。「製造工場で全面的にボルト組立をする必要はないと伝えたとき、プロジェクト管理チームは大変驚いていました。それでも私たちは、PolyWorks®と、出荷前に工場内でボルト接合計画をモデリングする手法を信頼していました。これまでにも小規模なプロジェクトで何度も実績を積んでいたので、この方法が機能することは分かっていたのです。そして計画通り、その巨大な構造部材は迅速かつ円滑に設置されました」
大規模な鉄骨製作プロジェクトの収益性を守るには
ソリューション
生産時間を短縮し、プロジェクトを予定より数か月前倒しで進めるために、Industrial Technology Solutions社はMCASを採用しています。このアプローチの核となるのは、Van Horn氏が数十年にわたって培ってきた鉄鋼加工における課題への深い理解と豊富な経験、同社が保有する3Dスキャナおよびレーザートラッカーなどの機材群、そしてPolyWorks|Inspectorです。
Industrial Technology Solutions社は、3Dスキャン、レーザートラッキング 、ドローンによるデータ取得などを活用し、設計者、製造業者、建方業者、機械据付技術者などにデータを提供しています。
「人々が本当に求めているのは、結果だけです」と、Van Horn氏は断言します。「多くの企業は、大量のスキャンデータを提供するだけで、お客様が本当に必要とするソリューションまでは提供できていません。私たちは、設備や竣工後のデータを解析する技術を備えており、分かりやすいレポートを通じて、実践的なエンジニアリングの知見を提供しています」
「機器設置業者、機械据付技術者、建方業者などは、データや分析結果を必要としており、私たちはそれらを可能な限り迅速に行うことを求められています」と彼は続けます。「大型部品をスキャンしてCADモデルと照合し、溶接や機械加工などの調整が必要な箇所をスキャンした後わずか数分で特定できれば、大幅な時間短縮だけでなく部品を確実に適合させることができます」
テキサス・レンジャーズの本拠地球場の屋根プロジェクトにおいて、Van Horn氏は、PolyWorks|Inspectorで覆いを構成する部材をスキャンし、製造業者が計画を策定するのに必要な情報提供まで、わずか数時間しかかからなかったと述べています。「以前なら、このような結果を出すのに数分どころか数週間を要していたでしょう」とVan Horn氏は言います。
PolyWorksテクニカルサポートが支える成功
Industrial Technology Solutions社がある鉄骨製作会社のプロジェクトを支援していた際に、問題が発生しました。
「私たちはPolyWorksのテクニカルサポートに電話をかけ、いつサポートを受けられるかと尋ねました。すると担当者から、現在約40名のサポートスペシャリストと会議中ですが、この問題を画面に映し、実践的なケーススタディとして取り上げたいです、と返答がありました。そこでお客様から了承を得たうえで、データを共有しました。その結果得られた知見により、その鉄骨製作会社は予定より2か月も早くプロジェクトを完了させることができました」
Industrial Technology Solutions社が見据える未来
まとめ
Jeff Van Horn氏はPolyWorks|Inspectorの熱心な支持者かつユーザーで、特に構築や検査機能を高く評価しています。実績を重ね、商標登録もされているHorn氏の「MCAS」アプローチにより、同氏は業界の最前線で活躍する存在となっています。大手の鉄骨製作会社から、同一部品を用いてそれぞれの計測プロセスを比較・検証するよう求められた際、MCASはPolyWorks|Inspectorを導入し、生産効率を300%向上させるという成果を上げました。
「当社のプロセスを模倣しようとする人は大勢いますが、彼らには私が40年かけて蓄積してきた『失敗の経験』がありません」とVan Horn氏は笑顔で語ります。「今の私たちの業務は、PolyWorksあってのものです。皆さんのおかげで、この仕事が再び楽しいものになりました」